汗が臭い原因と「エクリン腺」「アポクリン腺」の違い

汗には”ニオう汗”と、あまり”ニオわない汗”があります。
両者の違いを調べました。

汗の種類とニオイの違い

汗による悩みは、”ニオイ””汗の量”に大別することができます。前者は主に「ワキガ」、後者は「多汗症」と診断されることもあります。

もちろん、両方の悩みを抱えている方もいらっしゃるでしょう。今回は、汗腺の違いによる”ニオイ”にスポットを当てます。

食べ物と運動

体臭というと、「肉系の食べ物は体臭がキツくなるから、野菜を多く採らなきゃ」という話を聞いたことがあります。

もちろん、アメリカナイズされた食生活が、体臭に及ぼす影響はあるでしょう。また、「もっと運動して汗流さないと、サラサラの汗にならないよ!」なんていう話も。お医者さんが言うくらいですから、確かにそうなのでしょう。

ニオイの原因

しかし、”汗によるニオイ”に関しては、もっと根本的なニオイの原因があります。

ずばり、汗腺”です。まず、「自分の汗(によるニオイ)の悩みは、どれに当てはまるのか?」を知らないと、的確な対処ができません。

汗腺によるニオイの違い

本題に入ります。
人間には、「エクリン腺」「アポクリン腺」という2種類の汗腺が存在します。この2種類の汗腺によって、”臭い”が大きく異なります。


出典:chuoh-clinic-kagoshima.com

【エクリン腺】

エクリン腺から出る汗は、ほぼ水分”ニオわないタイプ”の汗(普通の汗)を出します。”ニオわない”というのは、後に紹介するアポクリン腺と比較した場合の話。市販の制汗剤でも、消臭することが可能です。

・成分と役割

エクリン腺から出る汗の成分は、99%が、残りの1%は塩分で、サラサラの無色透明です。

体温調節、微生物を洗い流すなど、汗としての大切な役割を果たしています。

体温が高いときはもちろん、緊張などによる精神性発汗や、辛い食べ物(刺激物)を食べたときに流れる汗も、エクリン腺からのもの。汗をかきやすい人、かきやすい部位の違いは、エクリン線によるところが大きい。

・汗腺の分布

エクリン腺は全身に存在します。特におでこ、足の裏、手の平などに密集していると言われていますが、個人差が大きく、人によって範囲や量・活動状況は異なります。”汗っかき”の人は、この汗腺で苦労しているのです。

・ニオイの特徴

エクリン腺から出た直後の汗は無臭。味は・・汗の味(しょっぱい)。汗をかいたあと、細菌が繁殖して臭い出してくる時間は、大体1~2時間後。エクリン腺から出た汗(普通の汗)は、かいた直後にケアするのが、ニオイの面から考えるとベストでしょう。

・菌の繁殖

繰り返しになりますが、”臭わない”というのは、アポクリン腺に比べての話です。もちろん、運動時にかいた汗をそのままにしておくと、皮膚上の皮脂などと混ざり、細菌が繁殖してニオイの原因となる物質が作られ、汗臭くなります。

「酵母菌」を育てたことがある方はご存知だと思いますが、体温(36.5度)は、菌の繁殖にピッタリの温度です。そこに水(汗)とエサ(皮脂)があれば・・・。

皮膚環境(常在菌)による影響も大きく、腸内細菌で有名な「善玉菌や悪玉菌」のような関係が皮膚上にもあり、そのバランスが整っていると、ニオイも発生しにくいとのこと。食べ物や運動によるニオイの改善も、比較的効果が出やすいのはエクリン腺による汗です。

・多汗症の原因

体温調整に不必要、異常な発汗量に悩まされるのが「多汗症」。多汗症で大量に出てくる汗は主に、エクリン腺からのもの。

多汗症の原因は、

・精神的なもの
・別の疾患
・遺伝によるもの
・ホルモンバランスの崩れ
・肥満
・生活習慣によるもの

など、いくつか考えられるようです。

【アポクリン腺】

アポクリン腺が、”ニオうタイプ”の汗腺。正確に言うと、汗自体に”ニオイ”はほとんどありません。しかし、細菌によって分解されることで、いわゆる「ワキガ」と呼ばれる、特有のニオイを放ちます。

・成分と役割

アポクリン腺から出る汗には、70~80%ほどの水分の他に、脂質タンパク質アンモニアが含まれ、乳発色粘り気があります。

アポクリン腺から出る汗(分泌物)は、主にフェロモンとしての機能を果たします。

アポクリン腺は一般的に、思春期に活動を開始。フェロモンの性質上、(ワキガでない)人は、性的興奮時や異性を意識したときに多く分泌されます。

しかし、いわゆる「ワキガ」の人は、日常生活でもアポクリン腺が活動するため、日常的に臭いに悩まされることに。エクリン腺と同じく、緊張やストレスなどでも分泌され、そのメカニズムは、未だ明確に解明されていません。

・汗腺の分布

アポクリン腺はエクリン腺と違い、体の限られた場所に集中して分布しています。わきの下、乳首(乳輪)、へそ、陰部、肛門、耳などです。アポクリン腺の量は個人差が大きく、”たくさんある人”が、いわゆる「ワキガ」に悩まされる傾向にあります。

・ニオイの特徴

分泌された汗が、皮膚に生息する細菌によって分解され、皮膚上の物質と混ざり「鉛筆臭」「ネギ臭」などと言われる、ワキガ特有の臭いが生まれます。

・ワキガと人種

「五味クリニック附属ワキガ多汗症研究所」によると、黒人のほぼ100%、欧米人の70~90%、日本人の10~15%、中国人の3~5%が、ワキガ体質とのこと。

正確なデータは取りようがないでしょうが、少なくともアジア人よりも欧米人の方が、ワキガの確率が高いようです。

このため、欧米諸国では体臭に対する意識が日本より強く、日本人のように「無臭が良い」という考え方より、「香りを付ける」という考え方が一般的。

日本もかつては、「香(こう)の文化」がありました。ニオイをニオイでカバーするのは、普通の考え方です。

欧米人の消臭文化に関してだと、「朝夕2回のシャワー」はよく聞きます(ドラマ・映画でもよく見ます)。

日本人で「ワキガ」に悩む人にとって辛いのは、「国内において、ワキガは少数派」という点です。さらに、日本人が誇る”他人に気を使う”性格も相まって、ワキガに悩む日本人は、本当に辛い思いをしている人が多いと感じます。

・ワキガの原因

「ワキガ」の原因は、アポクリン腺から出る汗(分泌液)。このアポクリン腺の量が多く、汗腺のサイズが大きい人は、「ワキガ」に悩まされる確率が高い。

「本人が気にしていない」のであればワキガとは呼ばないようなのですが、狭い島国で他人と関わりながら生活している我々にとって、話はそう単純ではないでしょう。他人から指摘されて、ニオイが気になりだすパターンも少なくありません。

汗自体にニオイはほとんどありませんが、汗が細菌と混ざり、ニオイの元となる物質が分解(生成)されることで、独特の臭いが生まれます。細菌の種類や汗の成分、皮膚上の物質の組み合わせによって、ニオイの種類も変化します。

以上が「エクリン腺とアポクリン腺の違い」でした。
「ワキガ」や「多汗症」については、今後詳しく書いていく予定です。

ありがとうございました。

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