「ワキガ(腋臭)」とは何でしょうか?
「ワキガ」と「普通の汗」とでは、分泌される汗の種類から違います。
ワキガの多くは、遺伝によるものだと言われています。ですので、野菜を食べたり運動したりという方法では、根本的な改善にはなりません。詳しく見ていきます。
1.ワキガとは?
「わきが(腋臭症)」のニオイは、「アポクリン腺」から出る汗によるものです。人の汗腺は「エクリン腺」と「アポクリン腺」の2種類存在します。
その内の1つ「アポクリン腺」から出る汗をエサとして菌が繁殖し、特有の強いニオイを発します。これが、ワキガ臭の原因です。アポクリン腺から出る汗には70~80%ほどの水分の他に、脂質やタンパク質、アンモニアなどが含まれており、乳発色で粘り気があります。
「多汗症」と並んで、深刻な悩みの一つです。多汗症が「エクリン腺」からの異常な発汗、ワキガは「アポクリン腺」から出る汗を原因とする臭い。
ちなみに、エクリン腺から出る汗は”ほぼ水”で、いわゆる普通の汗。普通の汗と、ワキガの原因となる汗は、”出る汗腺の種類”、”汗の成分”、”ニオイ”が全く異なります。
出典:chuoh-clinic-kagoshima.com
ワキガの特徴
「ワキガ」の元となる汗が出る汗腺は「アポクリン腺」。アポクリン腺から出る汗は本来、「フェロモン」としての機能を果たします。実は、出た直後の汗自体にはほとんどニオイはありません。しかし、その汗のせいで菌が繁殖(エサを分解)し、「鉛筆臭」「ネギ臭」などともといわれる、特有の強いニオイを作り出すのです。
アポクリン腺の分布
全身に分布するエクリン汗腺とは違い、アポクリン汗腺は体の限られた部位に集中しています。主に、わきの下、乳首(乳輪)、へそ、陰部、肛門、耳の中と裏など。汗腺の量は人によって違い、人種によっても異なります。
日本国内において「ワキガ」で悩む人は10%~15%程度と、欧米(50%以上)に比べて少数。ワキガに悩む人にとっては、心理的に悩みを共有しづらい、厳しい環境だと感じます。
2.ワキガの原因と仕組み
繰り返しになりますが、「アポクリン汗腺」から出た汗を、皮膚上の細菌が分解することで、ワキガ特有の強いニオイが生まれます。
菌の繁殖
酵母菌(パンやお酒などに使用する菌)を育てたことがある方ならご存知だと思うのですが、人間の体温(36.5度)は、菌たちにとって過ごしやすい温度。そもそも、生物自体が菌によって生かされているので、菌が増えること自体は当たり前の現象。でも、”嫌なニオイの原因となる菌”だけは、ご遠慮願いたい・・。
ニオイの拡散
皮脂が混ざり合うことでも、ニオイの強さや種類が複雑化します。そして、エクリン線から出る(普通の)汗の蒸発によって、ワキガのニオイが広範囲に拡散。
ワキガの遺伝と時期
ワキガは遺伝的な要因が大きく、「五味クリニック附属ワキガ多汗症研究所」によると、黒人のほぼ100%、欧米人の70~90%、日本人の10~15%、中国人の3~5%がワキガ体質とのこと。しかし、「親がワキガ」だからと言って、必ず子供に遺伝する訳ではありません。
アポクリン汗腺が活動し始める時期は、本来の「フェロモン」の機能も関係し、大体男子だと9~13歳頃、女子では7歳~12歳頃。人間なら皆、アポクリン汗腺を持っているのですが、多い人(ワキガに悩む人)は、第二次性徴期あたりからニオイに対する自覚を持ち始める(人が多い)ようです。
最近では、肉食など食生活の変化、生活習慣の乱れによって、日本人でワキガに悩む人の数も増えてきていると言われ、発症年齢の低年齢化も進んでいると言います。
3.ワキガのあれこれ
腋臭セルフチェック
・家族にワキガ体質の人がいる。
両親が両方ともワキガでない場合、子供がワキガである確率は、かなり低くなります。片親、両親ともワキガ体質の場合は、遺伝の可能性は5割以上と高くなります。
・耳アカが湿っている。
「アポクリン汗腺」は、耳の中にも存在します。ワキガ体質の人は、耳アカが湿っている確率がかなり高いです。
・服のワキ部分に、黄色いシミがつく。
服のワキ部分のシミは、汗かき、多汗症、ワキガ体質の人なら付きますが、特にワキガの場合、汗の成分(たんぱく質・脂質・アンモニア・その他)によって、黄色いシミ(黄ばみ)が付きやすい傾向にあります。シャツの脇部分を確認してみてください。
・腋毛に白い粉がつく。
「アポクリン汗腺」から出る汗は、乳白色です。水分が蒸発し、白い結晶が毛に付着しているのであれば、ワキガ体質の可能性が高まります。
その他にも、「毛深い(腋毛が濃い)」「脇に汗をかきやすい」「脂モノが好き」「タバコ・お酒が好き」などのチェックポイントもありますが、まずは上記のポイントをチェックしてみてください。
ワキガの種類
脇から出るニオイを「ワキガ」。乳輪や陰部など、脇以外から出るワキガ臭は「すそわきが」と呼ばれ、区別されることがあります。
「ワキガ」と「すそわきが」を併発していることも多く、特に陰部の場合「フェロモン」を出すアポクリン腺の性質上、性行為の後にニオイがきつくなることもあり、パートナーなどの指摘によって知ることも少なくありません。
ワキガのニオイ
腋臭のニオイは、「汗臭いニオイ」とは全く異なります。汗を分解する細菌の種類や混ざる物質によって変化しますが、一般的には以下のような表現が使われます。
・ネギの臭い
ネギ臭いニオイです。タマネギに近い、ツンと鼻にくる刺激臭。
・鉛筆の芯の臭い
比較的、軽度のワキガ体質の人に見られる、鉛筆の芯のようなニオイ。
・古びた洗濯ばさみの臭い
主婦(洗濯物を干す人)でないとわかりにくいニオイ。ただ、意外にもこの表現が一般的なのです。
・香辛料のクミンの臭い
クミンは、カレー粉に入っている香辛料です。
・ゴボウの臭い
ゴボウのニオイに、少し生臭さを足した感じ。
・酢の臭い
酸っぱい刺激臭。汗臭さと混同しやすく、「ただ汗臭い」場合はエクリン腺から出た汗によるものなので、ワキガではありません。
・納豆の臭い
納豆、もしくはチーズのような、腐臭に近いニオイ。
ワキガの深刻な問題
「ワキガ臭」に苦しむ人にとって、ニオイからくる精神的ダメージは相当なもの。本人の過失ではないにも関わらず、「嗅覚」という動物的本能に近い感覚が刺激されるので、周りの人も我慢しづらい。
ワキガが原因で、「うつ病」やその他「精神疾患」を発症してしまう例も少なくありません。友人をはじめとする人間関係にも距離を取り、”普通の人”としての生活を送れない(と感じている)方も当然いらっしゃいます。
「体臭の管理は自己責任」などと冷たい言葉をかける人もいますが、ワキガは「毎日お風呂に入っていたら、臭わない」というものでは決してありません。治療に関しても、効くかどうかわからない高価なスプレー(塗り薬)や、体に傷が残る手術など、コストやリスクの面でのダメージも計り知れません。
黒人はほぼ皆ワキガ?
「五味クリニック附属ワキガ多汗症研究所」によると、黒人のほぼ100%、欧米人の70~90%、日本人の10~15%、中国人の3~5%が、ワキガ体質とのこと。ワキガは遺伝によるところが大きいので、人種による偏りにも説明がつきます。
日本をはじめとするアジア圏では「ワキガ体質は少数派」なので、周りとの情報共有がしづらく、本当の意味での理解者も少ないので、肩身が狭い思いを強いられます。
欧米人は「朝夕2回のシャワーを浴びる」など、体臭に対する意識が強いイメージですが、『北千住クリニックのわきが多汗症治療(HP)』によると、意外にも「ワキガ治療」に関しては一般的ではなく、むしろワキガ率の少ない日本、韓国、中国、台湾などの東アジア諸国での「ワキガ手術」の方が一般的らしいのです。
しかし、「多汗症に対する治療」には積極的だということ。「ハグ」など、身体的距離感が近いところからくる文化の違いでしょうか。
以上です。
ありがとうございました。
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